症例
意識障害を呈した福山型筋ジストロフィーの横紋筋融解症の1例
藤本 卓也
1
,
岩田 怜奈
2
,
宇野 椋哉
3
,
加藤 佳子
3
,
太田 純子
4
,
安田 邦彦
5
,
舩戸 道徳
1
1国立病院機構長良医療センター神経小児科
2同 薬剤部
3同 リハビリテーション科
4同 看護部
5同 小児外科
pp.845-849
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003548
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福山型先天性筋ジストロフィー(Fukuyama congenital mascular dystrophy:FCMD)は,1960年に福山らによって報告された常染色体潜性(劣性)遺伝形式を示す筋疾患である1).臨床症状としては重度の筋ジストロフィー,神経細胞遊走障害による脳奇形と高頻度の眼合併症の3大症状を特徴とする1).原因遺伝子は,1998年にフクチン(FTKN)遺伝子が同定されており,その遺伝子産物であるフクチン蛋白質はα-ジストログリカンの糖鎖修飾に関与する酵素として機能している1).このフクチン蛋白質が異常をきたすと,基底膜成分のラミニンとの結合能が低下し,基底膜と細胞骨格の関係が破綻し,筋ジストロフィーを発症する1).典型例や軽症例の多くはフクチン遺伝子の3′側非翻訳領域にSINE-VNTR-Alu(SVA)型レトロトランスポゾンの挿入変異をホモ接合性に保有するが,挿入変異と点変異による複合ヘテロ接合体を保有する患者では重症から軽症のさまざまな非典型例を生じることが知られている1).

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