社会小児科学
「患者の意思」について患者の視点から再考する
兼児 敏浩
1
1三重大学医学部附属病院医療安全管理部
pp.837-844
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003547
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医療の開始に係る患者の意思の表出(同意)は医療者との共同意思決定(SDM)を経てなされることが望ましく,ACP的マインドをもった対応も求められる.同意の意思表出は患者にとっては,妥協とあきらめを重ねた結果であるが,さらに,実施にあたっては,医療者から医学的・社会的妥当性について審査を受ける.患者の意思が医学的妥当性を満たしていない時は愚行権の行使としてとらえられるが,親権者が小児に対して行使するときはネグレクトになる可能性がある.また,社会的妥当性がなければ患者ハラスメントに該当する.われわれは,つらい状況のなかで患者が表出する意思について患者の視点で再認識し,患者の痛みを理解しなければならない.

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