特集 小児科医が診る泌尿器疾患アップデート――どう診断・治療するか? 予後はどうか?
5.停留精巣
杉多 良文
1
,
植松 陸
1
,
高 亜羅
1
,
春名 晶子
1
1兵庫県立こども病院泌尿器科
pp.779-785
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003539
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
停留精巣は男児の約1%に認める先天性疾患であり,乳幼児健診や日常診療などで比較的よく遭遇する.診断は触診が重要で,精巣を陰嚢に下降させて,手を離したときにすぐに上昇する場合を停留精巣,“しばらく“ 陰嚢に留まり精巣挙筋反射などにより上昇する場合を遊走精巣と診断する.精巣を触知しない場合は原則として画像検査を行わずに,専門の医師に紹介する.手術時期は1歳前後から2歳ごろまでが推奨されている.妊孕性は片側停留精巣の男性は正常精巣の男性と変わらないが,両側停留精巣の男性では低下する.また,停留精巣は悪性化のリスクが,正常精巣より4~5倍程度高いとされており,精巣固定術後も生涯にわたるセルフチェックが必要である.

Copyright © 2025, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.