特集 大災害と子どもたち――Excluded and Invisible Ⅱ
小児災害医療における特殊な対応
9.特殊ミルク・代謝疾患に対する医療支援
-――「あの子のミルクがない」から始まる二次災害
濱崎 考史
1
1大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学
pp.694-698
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003514
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災害時,特殊ミルクや治療食を必要とする先天代謝異常症児は,物資不足によって生命の危機に直面する.本稿では,疾患別の緊急度や対応,供給体制の課題を整理し,一般小児科医が災害時に備えて把握すべき知識と対応,さらに平時からの自助・共助・公助の取り組みについて紹介する.とくに見た目からは分かりにくい支援ニーズへの「気づき」が重要であり,限られた資源の中での優先順位判断や,保護者や地域医療との連携体制の構築が求められる.供給拠点の被災やミルクの輸入規制など,制度上の課題も多く,持続可能な供給体制の構築と国レベルでの対応強化が望まれる.

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