特集 大災害と子どもたち――Excluded and Invisible Ⅰ
災害とアドボカシー
1.Excluded and Invisible
-――声なき者の声として
島袋 梢
1
1米国私立カイザー病院小児集中医療室
pp.547-553
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003473
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東日本大震災は,災害医療における重大な転換点となった.この経験は災害弱者―特にこどもや,障害をもつ人々―がいかに支援の網から「除外され,見えない存在(excluded and invisible)」であるかを顕在化させた.また,本稿ではこどもだけではなく,災害時に「見落とされてきた存在」として,災害支援者自身らにも光を当てる.世界中で「こどもに特化した災害対応」の必要性が認識されるなか,わが国は今この問題に正面から向き合い,独自のモデルを形成し始めている.国内と海外の災害医療チームと隣り合わせで働いた筆者の経験をもとに,持続的支援制度とこどもと支援者自身の心のケアの必要性を明らかにし,全国的な災害支援格差是正と子どもの声の制度的反映を提言する.

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