綜説
長時間作用型ヒト成長ホルモン製剤の登場
-――成長ホルモン分泌不全性低身長症2例に対する治療経験を含めて
中 智晶
1
,
岩田 怜奈
2
,
舩戸 道徳
1
1国立病院機構長良医療センター神経小児科
2同 薬剤部
pp.788-794
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003114
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50年以上続く成長ホルモン補充療法の歴史のなかで,近年,長時間作用型成長ホルモン(LAGH)製剤が登場した.毎日注射の負担を軽減し,治療アドヒアランスと治療効果の向上が期待されている.今回筆者らは,成長ホルモン分泌不全性低身長症2例に対して,LAGH製剤を用いて治療を行った.1例は神経発達症を合併し,毎日注射では投与忘れや家族の疲労感があったが,LAGH製剤への変更により,患者だけでなく家族の満足度が向上した.もう1例は接種開始後まもなくして注射部位の紅斑を認めたが,LAGH製剤の週1回注射という利点は患者の治療アドヒアランスにつながった.現時点では,長期間使用の安全性データがないことなど課題もあるため,今後さらなるデータの蓄積が必要である.
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