特集 胎児・新生児の消化管機能と消化管疾患
総論
腸内細菌叢の異常と関連する疾患
金森 豊
1
KANAMORI Yutaka
1
1国立成育医療研究センター外科
pp.1561-1564
発行日 2023年11月10日
Published Date 2023/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001146
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はじめに
腸内細菌は,生体内に生体を構成する細胞の10倍以上の数が存在していると考えられており,さらに腸内細菌は生体の100倍以上の活性遺伝子を保持しているといわれている。このような多数の細菌叢が生体に強い影響を及ぼしていることは想像に難くなく,近年では,周産期や生後早期の新生児における腸内細菌の獲得は生体の健やかな成長に対して重要な意義をもっていることが明らかにされつつある。このことは逆説的には,正常な腸内細菌叢を獲得できなかった児にとっては異常な腸内細菌叢が健やかな成長に重大な問題をもたらすことになるともいえる。本稿では,生後早期の正常腸内細菌叢獲得を阻むさまざまな因子について解説し,その結果起こる腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が腸管のみならず全身の臓器に及ぼす影響とその結果引き起こされる病態について最近の知見を概説する。
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