特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
10章 自己抗体検査
1.検査の種類と原理・読み取り方とその限界
伊藤 保彦
1
1日本医科大学大学院小児・思春期医学
キーワード:
自己抗体
,
自己抗原
,
自己免疫疾患
,
膠原病
,
抗核抗体
Keyword:
自己抗体
,
自己抗原
,
自己免疫疾患
,
膠原病
,
抗核抗体
pp.1619-1625
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002867
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膠原病のような全身性の自己免疫疾患で認められる自己抗体は,橋本病や重力筋無力症のような臓器特異的自己免疫疾患で認められる自己抗体とは根本的に異なる.一般に臓器特異的自己免疫疾患の自己抗体の対応抗原は臓器に特有の抗原であり,比較的免疫系との接触が少ないため,非自己とみなされやすい状態にあるといえる.したがって,自己抗体が産生されたとしても免疫系の異常は限定的なものである.また疾病の発症機序としても,自己抗体が臓器に特有な抗原と反応して組織障害をきたすという比較的単純なメカニズムである.一方,全身性自己免疫疾患に認められる自己抗体は,ほとんどの場合その対応抗原は全身のすべての細胞にあまねく分布しているものであり,このような抗原について免疫寛容が破綻する状態というのは,免疫系が根本的なところで異常をきたしているといわざるを得ない.また,このような自己抗体がどのように疾病の発症にかかわっているのかほとんど解明されていない.少なくとも自己抗体が直接組織障害をきたすような単純なメカニズムではない1).
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