特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
1章 尿一般検査
7.クエン酸,シュウ酸,尿酸,カルシウム,シスチン
辻 章志
1
1関西医科大学小児科学講座
キーワード:
グリオキシル酸代謝
,
代謝性アシドーシス
,
尿路結石
Keyword:
グリオキシル酸代謝
,
代謝性アシドーシス
,
尿路結石
pp.1363-1367
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002819
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成人領域での尿路結石症の罹患率は2015年の調査によれば人口10万人あたり138人と報告されているが,小児では成人の1/10程度と少ない1)2).はシュウ酸,尿酸,カルシウム,シスチンは尿路結石の成分となる分子である.通常,十分な量の尿が生成されていればこれらの分子の濃度は高くならずに体外に排出される.しかし,体内での産生量が亢進する状態となったり,尿量が少なくなったりすると,分子は濃縮され濃度が高くなり腎臓で結晶を作る.やがて,結晶は大きくなり尿路結石となる.一方,クエン酸はシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどの結晶形成を抑制する.またクエン酸は,尿中のpHを上昇させることで,酸性尿を改善し,尿酸結石やシスチン結石の形成を抑制する.本稿では尿路結石の原因となる尿中クエン酸,シュウ酸,尿酸,カルシウム,シスチンの異常値と疾患との関係について解説する.
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