特集 一般小児科医のための小児てんかん診療ガイド
9.小児てんかんに併存する障害
中川 栄二
1
1国立精神・神経医療研究センター病院てんかん診療科,脳神経小児科
キーワード:
小児てんかん
,
神経発達症
,
自閉スペクトラム症
,
注意欠如・多動症
,
新規抗てんかん薬
Keyword:
小児てんかん
,
神経発達症
,
自閉スペクトラム症
,
注意欠如・多動症
,
新規抗てんかん薬
pp.1008-1016
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002282
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小児のてんかんでは,神経発達症の併存率が非てんかん群よりも高く,てんかん児の20%で自閉スペクトラム症(ASD),30%で注意欠如・多動症(ADHD)の併存が報告されている.神経発達症は,さまざまな先天的要因によって乳児期から幼児期にかけてその特性が現れ始める脳機能発達の遅れや偏りである.抑うつや不安,強迫性障害,気分障害などの精神障害の合併はてんかんが若年発症であるほど高い.とくに,前頭葉てんかんと側頭葉てんかんでは,発達や情緒に関連する部位を巻き込むため認知機能異常や行動異常が高頻度で認められる.てんかんに神経発達症が併存している際の,抗てんかん薬や抗精神病薬の投与は,てんかん発作型や併存する精神症状,睡眠障害などを考慮して選択する必要がある.
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