特集 小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス
神経
11.けいれん重積状態
菊池 健二郎
1
1埼玉県立小児医療センター神経科
キーワード:
けいれん重積状態
,
小児けいれん重積治療ガイドライン2017
Keyword:
けいれん重積状態
,
小児けいれん重積治療ガイドライン2017
pp.532-539
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001283
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小児救急診療において,てんかん重積状態(status epilepticus:SE)は神経学的後遺症を残すことがあるため迅速かつ適切な治療が求められる.本邦では,2005年に「小児のけいれん重積状態の診断・治療ガイドライン(案)—よりよい治療法を求めて—」(小児のけいれん重積に対する薬物療法のエビデンスに関する臨床研究」(主任研究者:大澤真木子)1)が作成された.当時ミダゾラム(MDL)はまだSEに対する保険適用が認められていなかったため,タイトルに『(案)』がついていた.その後,2008年にフェノバルビタール(PB)静注製剤,2011年にホスフェニトイン(fPHT)静注製剤,2014年にMDL静注薬がそれぞれSEに対して保険適用が認められ,海外のガイドラインで推奨されている治療薬が本邦でも使用可能となった.一方で,治療選択肢が増えたことにより臨床の現場で薬剤選択の優先順位に関する基準が求められ,2014年3月に日本小児神経学会において「小児けいれん重積治療ガイドライン策定委員会」(委員長:林北見)が設置され,2017年6月に本ガイドライン2)が作成された.エビデンスに基づくガイドライン作成では,一般的には科学的根拠の強さによって推奨グレードが決定される.しかしながら,小児けいれん重積状態に関する質の高い研究は少ないのが実情で,本ガイドラインでは各clinical questions(CQ)で得られたエビデンスの強さだけではなく本邦での実臨床に適応できることを重視して推奨グレートが決定された.そのためCQによっては推奨グレードが決定できず推奨グレードなしとなった推奨文が記載されている(表1).
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