診療
肺炎が原因で発症した急性呼吸促迫症候群の病原体と予後予測因子の検討
中島 典子
1
1国立感染症研究所・感染病理部
キーワード:
ウイルス肺炎
,
急性呼吸促迫症候群
,
重複感染
,
インターフェロンγ
Keyword:
ウイルス肺炎
,
急性呼吸促迫症候群
,
重複感染
,
インターフェロンγ
pp.1409-1418
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001046
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感染性肺炎が原因で急性呼吸促迫症候群(ARDS)を発症した小児患者は集中治療を要し,その致死率は高い.病原体の種類によってARDSの発症率や予後が異なるかについては明らかにされていない.本稿では2013〜2015年にベトナムのハノイ国立小児病院小児集中治療室(PICU)に入室したウイルス肺炎が原因の重症ARDS患者57名(男児32名,月齢中央値9か月)を対象に,気管吸引液から検出される病原体ゲノム,PICU入室時の血清サイトカイン・ケモカイン値などを解析した結果について解説する.60%の患者の気管吸引液から2種類以上のウイルスゲノムが検出され,とくにアデノウイルスB,麻疹ウイルス,サイトメガロウイルスのゲノムが高頻度に検出された.また,49%の患者でウイルス以外に細菌・真菌の共感染がみられた.生命予後は,病原体の種類,検出された病原体の数,PICU入室時の臨床データ,治療法によって有意差はみられなかった.一方,PICU入室時の血清IFN-γ値は死亡患者で有意に高値であり,多重ロジスティック回帰分析により,血清IFN-γ値は予後予測因子の候補となることが示唆された.
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