小児の微量元素欠乏 -―最近の進歩

微量元素のなかの亜鉛，銅，セレン，ヨウ素欠乏について概説する．欠乏・不足の要因には，絶対的摂取不足，吸収障害，代謝亢進，需要増大に供給が追いつかない，排泄量増加などがある．微量元素は，生体内ではいろいろな酵素や生理活性物質の機能発現や維持に重要な役割を果たしているので，欠乏すると多彩な症状・所見を示す．欠乏症の症状・所見には，欠乏している微量金属に特異的なものもあるし，非特異的なものもあるので注意して日常診療にあたる．また，絶対的摂取不足の状態では，これらの微量金属の他に，必須脂肪酸，ビオチン，カルニチン，ビタミン類の不足・欠乏症も発症することがあるが見逃されている可能性もあり，留意すべきである．