特集 思春期を診る!
Ⅲ章 移行期医療をふまえた診療の仕方─これを診ておこう・やっておこう
33 腎疾患
秋岡 祐子
1
Y. Akioka
1
1埼玉医科大学小児科
キーワード:
慢性腎臓病
,
先天性腎尿路異常
,
低出生体重児
,
妊娠・出産
Keyword:
慢性腎臓病
,
先天性腎尿路異常
,
低出生体重児
,
妊娠・出産
pp.719-725
発行日 2018年4月30日
Published Date 2018/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000455
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小児慢性腎臓病(CKD)患者の原疾患は,好発年齢順に乳幼児期に発見される先天性腎尿路異常(CAKUT),幼児期に好発するネフローゼ症候群,思春期に発見される慢性腎炎などである.すべての患者は一律に思春期を迎え移行の対象となる.腎臓内科医は,CAKUTの水分塩類喪失病態,排尿障害,腎外合併症に,ネフローゼ症候群やIgA腎症の治療プロトコールの違いに,社会的には乏しい自己決定力,患者や家族との厚い信頼関係に違和感がある.小児科医はCKD以外の成人疾患や妊娠・出産に関する知識に乏しい.小児科医の役割は腎臓内科医と一緒に成人期のCKD診療を構築することである.診療歴や今後起こりうる合併症やその対策について,患者自身にも説明する必要がある.また,胎児期・新生児期の成育環境や生活習慣がCKDの素地となることから,次世代のこどもの健康のために患者への健康教育が重要である.
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