- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
先天性心疾患の予後が改善され成人先天性心疾患患者が年々増加するなか,このような患者の妊娠・出産を数多く経験するようになってきた。成人先天性心疾患患者の妊娠・出産に関するエビデンスはいまだ十分とはいえないが,妊娠・出産におけるリスク,各疾患における妊娠・出産の予後,注意点,合併症などエビデンスレベルも上がりつつある。日本循環器学会による「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン」も2019年に改訂され,成人先天性心疾患の妊娠・出産に対する診療基盤が整いつつある1)。成人期に達した先天性心疾患患者のなかには,心血管病変の程度が軽く,健常者と同様に出産が可能な場合も多いが,なかには残存病変により,母体および胎児に危険を伴う場合もある。成人先天性心疾患患者の妊娠・出産を管理するうえで重要なことは,通常の妊娠・出産における循環動態の変化を理解し,そのような変化が,成人先天性心疾患を有する個々の患者および胎児の血行動態において,どの時期にどのような影響を及ぼすかを総合的に判断することである。重度のチアノーゼや肺高血圧症などのために妊娠が禁忌となる場合もある。リウマチ性心疾患の減少により,現在では成人先天性心疾患が妊娠中の心合併症因子として一番重要な原因となっている。すでに大血管転位症術後やFontan術後例など,これまで経験しなかった心疾患患者の妊娠・出産も増えており,成人先天性心疾患妊婦の心臓循環管理はきわめて重要な位置を占めるようになっている(図1)2)。妊娠・出産のリスクを減らすには,妊娠前からの患者教育・避妊指導も重要である。今後,成人先天性心疾患患者における妊娠・出産が安全に行われるよう循環器医,産科医,さらには麻酔科医と連携して母体と胎児の健康管理を行う必要がある。「KEY WORDS」成人先天性心疾患,妊娠・出産,リスク評価
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.