特集 できる!縫合・吻合
Ⅰ.縫合・吻合法の基本
縫合糸,針付き縫合糸,縫合材料の種類と使い分け
六車 一哉
1
,
久保 尚士
1
,
田中 浩明
1
,
山田 靖哉
1
,
澤田 鉄二
1
,
大平 雅一
1
,
平川 弘聖
1
Kazuya MUGURUMA
1
1大阪市立大学大学院医学研究科腫瘍外科
pp.14-17
発行日 2009年10月22日
Published Date 2009/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102743
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はじめに
近年の平均寿命の延長によって,ヒトが人生において何らかの外科的手術を受ける機会は増加してきている.その際に体内に残存する縫合材料の代表的なものとして縫合糸が挙げられる.残存した縫合糸が誘因となり,術後に様々なトラブルを引き起こす可能性が報告されており,縫合糸の選択は術後の短・長期的な経過を左右する意味で非常に重要な要素と考えられる.1999年に米国厚生省疾病管理・予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)から「Surgical site infection(以下,SSI)予防ガイドライン」が公開されて以来,わが国でもSSIに対する関心が高まってきており,さらに近年導入され定着しつつあるdiagnosis procedure combination(DPC)制度においては,SSIの予防は医療経済の面からもきわめて重要であるとされる1).実臨床においては,術野における吸収糸の使用がわが国ですでに常識化したSSI対策のエビデンスの1つとして認識されつつある2).
本稿では,現在使用することの可能な縫合糸の特性や使用目的について概説し,SSI予防の観点から現時点での選択されるべきベストな縫合糸について述べる.
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