上腕骨近位部粉砕骨折の骨頭壊死発生予測 -―CT画像を用いた北大分類の検証―

Validation of Hokudai classification as a predictor of post–traumatic avascular necrosis of humeral head after locking plate fixation for comminuted proximal humeral fracture

要旨：上腕骨近位部粉砕骨折術後の骨頭壊死発生予測として北大分類が提唱されているが，その精度を検証した報告は少ない。本研究は自験例を後ろ向きに調査し，本分類の骨頭壊死発生予測の精度を明らかにすることを目的とした。対象はlocking plateによる骨接合術を施行し，術後1年以上調査可能であった上腕骨近位部粉砕骨折98例（男性27例，女性71例，平均年齢66.1歳）である。受傷時単純X線像，CT画像より本分類で骨折型を診断，経過観察時の単純X線像より上腕骨頭壊死の有無と本分類の壊死予測感度，特異度を算出した。上腕骨頭壊死は14/98例（14.3％），壊死発生リスクが高いとされるType 1B，3，4の壊死予測感度は57.1％，特異度は95.2％であった。偽陰性4/6例が80歳以上でカットオフ値は81歳，偽陽性4例全例が60歳以下でカットオフ値は59歳であった。北大分類は簡便かつ骨頭壊死の発生予測に有用であったが，年齢が偽陽性，偽陰性に関与した。