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特集 整形外科とメンタルヘルス
整形外科医の心療内科臨床体験からみた慢性疼痛
-―人生史における苦悩と苦痛を心身医学的にどう理解するか?―
Chronic pain as viewed from an orthopaedic surgeon’s clinical experience in psychosomatic medicine;how to understand anguish and pain in life history from a psychosomatic medicine perspective?
谷口 大吾
1
,
細井 昌子
1
Daigo TANIGUCHI
1
1九州大学病院,心療内科
キーワード:
Alexithymia
,
Attachment
,
Life review
Keyword:
Alexithymia
,
Attachment
,
Life review
pp.715-722
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002581
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要旨:整形外科臨床において,通常の医学的治療に反応しにくい難治性の痛みを有する患者の本質的な問題に興味をもった整形外科歴20年の整形外科医が,心療内科病棟で臨床を行っている。その学びにおいて実感しているエッセンスを指導医とともにまとめた。患者の身体症状の歴史である病歴に加えて,その背景の人生史の逆境における苦悩と苦痛を積極的に傾聴することが有用である。しかし,難治例ではアレキシサイミアという自身の感情を意識化できない特性があり,不合理な気晴らしに走り,心身の疲弊が起こり,慢性疼痛が難治化している。ライフレビューにおいて,愛着の問題がどう形成されたかに興味をもち,尋ねるポイントを示した。近年注目されている慢性疼痛の認知行動療法も,安定した治療関係を構築しないと奏効しない。安全基地として機能する治療関係構築のための工夫を提案し,整形外科臨床における心の問題を配慮した対応の有用性を実感していただきたい。
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