特集 頭痛・めまい・しびれ・疼痛―慢性化のメカニズムと治療
Overview:commonな症状が慢性化するメカニズムに迫る
心療内科医の立場から
中村 祐三
1
,
上野 孝之
1
,
柊 未聖
1
,
端詰 勝敬
1
1東邦大学医療センター大森病院心療内科
キーワード:
疼痛
,
抑うつ
,
不安
,
機能性身体症候群
,
中枢性感作
Keyword:
疼痛
,
抑うつ
,
不安
,
機能性身体症候群
,
中枢性感作
pp.1211-1214
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika127_1211
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
▪commonな症状が慢性化している場合,抑うつ状態や過度の不安といった何らかの精神的な症状を伴っている場合が多い.
▪精神的な症状やストレスは中枢神経のグリア細胞に影響を与え,グリア細胞が炎症性サイトカインを放出することでcommonな症状がさらに強化される(中枢性感作).
▪強化されたcommonな症状は薬物療法だけで対応しようとしても,精神的な症状やストレスが加重しているため症状を軽減しにくく,また薬物療法だけではポリファーマシーになりやすくなる.
▪慢性化したcommonな症状に対しては,患者の「実は体のどこかに異常があるかもしれない」という考えを完全否定せず,「体の何らかの異常に心の問題が上乗せされている」などと取り扱うことで,よい医師-患者関係の構築につながりやすくなる.
© Nankodo Co., Ltd., 2021