小児科医の立場から -―成長期女性アスリートの医学的問題点―

Medical problems of the growth period female athletes

要旨：成長期の女性アスリートでは，過度な運動負荷や食事摂取量不足により，女性アスリートの三主徴（視床下部性無月経・利用可能エネルギー不足・骨粗鬆症）の発症に加えて，成長障害をきたす場合がある。思春期は，二次性徴の発来とともに成人身長に至るための重要な時期であり，骨密度の獲得も最大となる。この時期をいかに過ごすかは，その後のスポーツ人生をも左右する。そのため，成長期の女性アスリートの健康問題は，早期発見と早期介入が重要な課題である。成長を維持しつつパフォーマンス力を向上させるためには，運動量に見合った適切な食事摂取と休養が必要となる。成長期の女性アスリートでは，アスリート自身が体調変化に気づきにくいことがあり，周囲の大人の支援が必要不可欠である。スポーツ現場の声を聞き，小児科をはじめ各専門部署が連携してジュニアアスリートの包括的な支援を目指していく必要がある。