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特集 末梢神経―Current Concept in 2022
Ⅵ.手根管症候群
重度の手根管症候群に対する母指対立再建術
-―走路変更した短母指伸筋腱への長掌筋腱移行―
Opponensplasty by palmaris longus tendon to the rerouted extensor pollicis brevis tendon transfer in advanced carpal tunnel syndrome
木森 研治
1
Kenji KIMORI
1
1広島手の外科・微小外科研究所 土谷総合病院,整形外科
キーワード:
Carpal tunnel syndrome
,
Opponensplasty
,
Rerouted extensor pollicis brevis
Keyword:
Carpal tunnel syndrome
,
Opponensplasty
,
Rerouted extensor pollicis brevis
pp.635-641
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002133
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要旨:重度の手根管症候群に対する母指対立再建法として,筆者は2006年より皮下手根管開放と同時に走路を変更した短母指伸筋腱へ長掌筋腱を移行する方法を行ってきた。これまで40例41手に施行してきたが,おおむね満足すべき結果を得ている。本法は母指対立再建法として広く行われているCamitz法と同様に力源として短母指外転筋の共動筋である長掌筋を利用するため機能回復が早い上に,同法に比べて母指の回内を獲得しやすく移行腱の浮き上がりも生じない。また,短母指伸筋腱の機能が温存されるため術後に母指MP関節の屈曲傾向を生じることはなく,術前にMP関節伸展不全が存在する症例ではその改善が期待できる。さらに従来法による手根管開放後の二期的対立再建にも利用可能である。なお,一部の症例で短母指伸筋腱の末梢付着部に変異をみることがあり短母指伸筋腱の腱固定術が必要となるが,その操作は簡易である。本法はCamitz法の利点を残しつつ同法の欠点を克服できる有用な対立再建法である。
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