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特集 整形外科における静脈血栓塞栓症対策update
重度外傷(骨盤骨折・多発外傷)における静脈血栓塞栓症対策
Prophylaxis of venous thromboembolism after polytrauma or pelvic fractures
原 義明
1
Yoshiaki HARA
1
1日本医科大学付属病院,高度救命救急センター
キーワード:
Polytrauma
,
Coagulopathy
,
Fibrinolysis
Keyword:
Polytrauma
,
Coagulopathy
,
Fibrinolysis
pp.877-885
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001782
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要旨:重度外傷はベッド臥床を強いることが多く,多数のライフライン,モニター類留置によりVTEの高リスク患者となりやすい。しかし一方で,予防的理学療法が困難であったり,出血素因も合併していることから安易な抗凝固療法の導入は躊躇される。そのため本疾患に対するVTEの予防・治療対策は患者の凝固線溶系の病態把握が重要となる。超急性期には線溶亢進状態となる傾向がありVTEは発症し難いのに対し,徐々に線溶抑制(遮断)期になると相対的に凝固亢進状態となり,VTEのリスクが急激に上がる。四肢骨折に対する創外固定では関節を超えた固定を回避する工夫を行い,可能な理学療法の導入も早期から積極的に行う。薬剤的抗凝固療法の開始は線溶抑制期を見極める必要があり,未分画ヘパリンの投与が第一選択となる。出血性副作用に対しては厳重なモニタリングを行うことで対応する。
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