整形外科手術 名人のknow-how
遠位脛腓靱帯再建術
寺本 篤史
1
Atsushi TERAMOTO
1
1札幌医科大学医学部,整形外科学講座
pp.816-819
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000923
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遠位脛腓靱帯損傷はスポーツ外傷や足関節骨折に伴い生じることが多い。遠位脛腓靱帯は主に前下脛腓靱帯(anterior inferior tibiofibular ligament;AITFL),後下脛腓靱帯(posterior inferior tibiofibular ligament;PITFL),骨間膜より構成され,損傷はAITFLに生じやすい。足関節外側靱帯損傷と比較して治癒が遷延しやすく,疼痛や不安定感といった症状が長期にわたることがあるため,損傷が重度の場合は手術が必要となる。手術は金属スクリューを用いた脛腓間固定が一般的であるが,抜釘の必要性やスクリュー折損が生じやすいなどの欠点がある。近年はsuture-button implantを用いた脛腓間固定術が広まっている。抜釘が不要で,生理的なmicro motionを許容することから治癒しやすい利点がある。Suture-button implantを用いた固定については良好な臨床成績が報告されている一方で,脛腓間の十分な安定性が得られないという報告もあり,標準的治療法にはなっていない。Suture-button implantを用いた固定にnonabsorbable suture tapeによる補強を追加することで治療成績の向上が期待される。本稿では遠位脛腓靱帯損傷に対するsuture-button implantに加えてsuture tapeを用いたAITFL augmentationについての手技を紹介する。
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