ビタミンKと運動器の健康

Role of vitamin K in the prevention and treatment of locomotor disorder

要旨：天然のビタミンKには，ビタミンK₁（フィロキノン）とビタミンK₂（メナキノン）の2つの型がある。摂取されたフィロキノンおよびメナキノンは，側鎖が置換されてメナキノン4となって組織に作用する。ビタミンKと運動器疾患（変形性膝関節症・骨粗鬆症）には関連があることが報告されている。ビタミンK欠乏は変形性膝関節症のリスク増加と病期進行（＞285.8μg/日摂取で病期進行が少ない）および骨折リスク増加（摂取目標量：250～300μg/日）の原因となる。ビタミンKの変形性膝関節症に対する治療効果の報告はない。閉経後健常あるいは骨量減少女性に対するビタミンK₁とビタミンK₂の骨密度に対する効果は一定していないが，閉経後骨量減少女性に対するビタミンK₁の骨折抑制効果が報告されている。変形性膝関節症や骨粗鬆症性骨折の予防の観点から，十分なビタミンK摂取（300μg/日）の習慣は重要と考えられる。