USE systemを用いたone portal法による内視鏡下手根管開放術

One portal endoscopic carpal tunnel release surgery using the Universal Subcutaneous Endoscope（USE）system

要旨：透明な閉鎖性外套管と関節鏡よりなるUniversal Subcutaneous Endoscope（USE）systemを用いた手根管症候群に対する鏡視下手根管開放術は，本邦発の低侵襲手術手技として30年以上にわたり施行されてきた。本法の利点は，局所麻酔下に空気止血帯を用いることなく外来日帰り手術として施行可能な点，外套管の外周に接する組織を詳細に拡大観察できる点，組織切離による出血が関節鏡に直接触れないため視野が妨げられにくい点，one portalであるため任意の方向に外套管を挿入できる点などにある。解剖を熟知し，慎重に手術操作を行うことで合併症を起こしにくく，安定した良好な手術成績を得ることができる。さらに関節鏡器機の進歩や技術の向上により神経内血流の観察や運動枝の観察なども可能となっている。