経験
矢状面での転位を伴う小児上腕骨顆上骨折(阿部分類Ⅱ型)に対する保存治療の有用性
二宮 宗重
1
,
渡邊 牧人
1
,
越川 静和
1
,
田窪 良太
1
,
島田 勇人
1
,
高橋 康人
2
1立川綜合病院,整形外科
2新潟労災病院,整形外科
キーワード:
Supracondylar fracture of the humerus
,
Nonoperative therapy, Child
Keyword:
Supracondylar fracture of the humerus
,
Nonoperative therapy, Child
pp.1623-1627
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000245
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要旨:上腕骨顆上骨折は小児期に発生する最も頻度の高い骨折の一つであるが,矢状面での転位だけを伴う阿部分類Ⅱ型には明確に推奨されている治療基準がなく,施設によってその治療方針は異なる。近年,本邦では徒手整復と経皮的鋼線固定による良好で安定した成績から手術治療が主流となってきているが,今回,われわれは阿部分類Ⅱ型の10 例に対して,無麻酔による徒手整復と肘関節を軽度鋭角屈曲位とした外固定による保存治療を行い良好な成績を得た。阿部分類Ⅱ型は後方骨膜が連続した単純な伸展変形であることから,上腕骨顆上骨折に特有の複雑な整復手技を要さない。また軽度鋭角屈曲位による外固定を行うことで,循環障害を合併せずに整復位の保持も可能であった。阿部分類Ⅱ型の小児上腕骨顆上骨折は,まずは保存治療を考慮すべきであると考えられた。
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