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今,日本の医師と医療に求められるもの
石井 賢
1
1国際医療福祉大学医学部,整形外科
pp.1349-1349
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000183
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私は整形外科医として臨床に従事しながら,その傍らで若手医師らと基礎研究に携わっている。臨床と基礎研究の両分野に従事する中,常々感じていることがある。よく日本人は創造性はないが,模倣や改良が上手いと言われる。本当にそうであろうか? ビタミン,パルスオキシメーター,青色発光ダイオード,蛍光タンパク質(GFP),iPS細胞,3D プリンター,関節鏡など,日本には数多くの素晴らしい発明や発見がある。過去の医療分野においては,当時のドラッグラグやディバイスラグなどの影響もあり,残念ながら欧米で権利化され,皮肉にも日本が輸入するようなケースも少なくない。これらの背景には,医師の特許や権利化への知識と意識不足,ならびに特許や権利化をサポートする国や組織のシステムの欠如があった。たとえば医師が良い発明や開発をした場合,日本では特許出願から製品化や臨床応用までその多くを個人で抱え込むケースが多い。私自身もいくつか経験しているが,発明者個人の負担が余りにも大きい。1998年より多くの大学で産学連携強化を目的に技術移転機関(TLO)が設けられ,近年では多くの公的資金支援,ドラッグラグやディバイスラグなどの解消,臨床研究中核病院制度の導入などで今後の成果が期待されている。
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