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放射線治療では,病変に高線量を照射するが,その周囲に正常組織であるリスク臓器が近接していると,リスク臓器にも高線量が照射され合併症を生じてしまう。強度変調放射線治療(intensity modulated radiation therapy:IMRT)や画像誘導放射線治療(image-guided radiotherapy:IGRT)などの放射線治療技術の進歩により,線量集中性を高めた線量分布の作成や位置合わせ時の誤差に対するマージン(planning target volume:PTVマージン)の縮小が可能となり,リスク臓器の線量低減に寄与しているが,病変や臓器の体内移動に対するマージン(internal margin:IM)や最低限のPTVマージンは必要であるため,それらのマージンを加えるとターゲットに隣接するリスク臓器が一部含まれ,リスク臓器への高線量照射を完全に防ぐことが難しい。そこで考え出されたのが放射線治療用スペーサーである。スペーサーを病変と隣接するリスク臓器の間に留置することにより,物理的に距離を離し,高線量がリスク臓器に照射されるのを防ぐというものである。現在我が国で利用可能な保険適用となっている放射線治療用スペーサーには,前立腺癌放射線治療用のハイドロゲルスペーサー(SpaceOARTM,Boston Scientific社)と腹腔・骨盤内の悪性腫瘍に対する粒子線(陽子線,重粒子線)治療用※の吸収性組織スペーサー(ネスキープ®,アルフレッサ ファーマ社)がある。吸収性組織スペーサーは外科的に手術での留置が必要で,また粒子線治療に用途が限定されているため実際に使用される頻度は高くない。本稿では,我が国で広く使用されている前立腺癌放射線治療用ハイドロゲルスペーサーについて解説する。
Despite advances in radiation therapy, adverse events in normal tissues remain a problem. Spacer is used in radiation therapy to reduce the toxicity of organs at risk. Hydrogel rectal spacer(SpaceOARTM)is the most widely used spacer for radiation therapy in Japan. Hydrogel spacer separates the prostate and the rectum by inserting a gel and reduces the dose to the rectum during radiation therapy in patients with prostate cancer. This article highlights the placement procedure, benefits, and future prospects of hydrogel rectal spacer for prostate cancer radiation therapy.
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