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immunoglobulin G4(IgG4)関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)は,Hamanoらによる自己免疫性膵炎と高IgG4血症の関連の報告1)に始まり,他臓器に認める病態や関連する既存の疾患が次々に報告され,特徴ある臓器病変の分布や頻度が明らかになってきた。欧米および我が国のリウマチ学の研究者らは,診断の特異度を高める分類基準を2019年にまとめた2)。本疾患を疑うエントリー基準として,本疾患に特徴的な臨床像または画像所見を,典型的な臓器(膵臓,胆管,眼窩,涙腺,主要な唾液腺,後腹膜,腎臓,大動脈,硬膜,または甲状腺[Riedel甲状腺炎])に認めること,そして,病変を認めた1つの臓器の病理組織において,原因不明のリンパ球と形質細胞の浸潤を伴う炎症像を認めることとされている2)。炎症の結果,病変組織が増大し,臓器の腫大または臓器内に腫瘍様の構造物を認めることが特徴である。本疾患の診断では,臨床像・画像診断,病理組織,そして血清IgG4値を総合した検討が大切である。我が国の研究班はIgG4関連疾患包括診断基準2011を改訂し,2020年改訂IgG4関連疾患包括診断基準として発表3)した。診断の際は,できる限り組織診断を行い,悪性腫瘍(癌,悪性リンパ腫など)や類似疾患(シェーグレン症候群,原発性硬化性胆管炎,キャッスルマン病,二次性後腹膜線維症,多発血管炎性肉芽腫症,サルコイドーシス,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症など)を鑑別することが重要3)である。また,38℃を超える発熱は除外基準2)であり,高熱,CRP値の高値,好中球増多などを呈する場合も,感染性疾患やその他の炎症性疾患の除外3)が必要である。
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