診療
髄膜腫の18F FDG集積程度と病理所見の関係
秀毛 範至
1
,
宮崎 知保子
1
,
上林 倫史
1
,
油野 民雄
1
,
安藤 彰
1
,
大西 拓也
1
,
斉藤 修
2
,
稲垣 徹
2
,
入江 伸介
2
,
齋藤 孝次
2
,
三代川 斉之
3
1釧路孝仁会記念病院 放射線科
2同 脳神経外科
3旭川医科大学附属病院 病理部
キーワード:
髄膜腫
,
WHO分類
,
MIB‒1
,
FDG
Keyword:
髄膜腫
,
WHO分類
,
MIB‒1
,
FDG
pp.957-964
発行日 2017年7月10日
Published Date 2017/7/10
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000059
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髄膜腫は,くも膜表層細胞(arachnoid cap cell)から発生する非神経上皮腫瘍である。発生頻度は高く,頭蓋内腫瘍の13〜26%を占める日常診療の場で遭遇する機会の多い脳腫瘍である1)。髄膜腫の大半(90〜95%)は良性であるが,5〜7%に異型性,1〜2%に悪性髄膜腫が存在する2)。治療は手術による摘出が基本であり,摘出できれば通常は予後良好である1)。しかし,頻度は少ないものの再発例も存在する。腫瘍サイズ,発生場所などに加えて,髄膜腫の悪性度は再発/予後に関連する因子の一つであり,悪性度の高い異型性髄膜腫/悪性髄膜腫は再発の頻度が高く,良性の髄膜腫に比して一般に予後不良である1)。この点で術前における髄膜腫の良悪性の鑑別は,術式/治療方針の決定,予後予測に寄与しうる重要な情報と考えられる。一方,18F fluorodeoxyglucose(FDG)PET は,種々の腫瘍において,良悪性の鑑別,進展度評価,治療効果判定に有用性が報告されており,腫瘍診療においては欠くことのできない診断モダリティとなりつつある。髄膜腫においてもFDG‒PET を用いた悪性度の評価に関する報告は散見されるが,FDG集積程度が髄膜腫の悪性度を反映するという報告がみられる一方3‒5),反映しないという相反する報告もあり6)7),髄膜腫の悪性度評価にFDG‒PET が有用であるという一定の結論は得られていない。今回,手術前にFDG‒PET/CT を施行した11 例の自験髄膜腫症例について,遡及的にFDG 集積程度と病理組織所見の関連を検討した。
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