特集 消化器外科医に求められる緩和医療の基本と緩和手術
腹膜播種に伴う腸閉塞に対する治療―緩和手術を中心に
小練 研司
1
,
森川 充洋
1
,
廣野 靖夫
2
,
五井 孝憲
1
1福井大学第1外科
2福井大学がん診療推進センター
キーワード:
腹膜播種
,
緩和手術
,
腸閉塞
Keyword:
腹膜播種
,
緩和手術
,
腸閉塞
pp.219-226
発行日 2026年2月15日
Published Date 2026/2/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004832
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腹膜播種(peritoneal carcinomatosis;PC)は,腹腔内悪性腫瘍の終末像として重要な病態であり,胃癌・大腸癌・膵癌・胆道癌などの消化器癌に最も高頻度に認められる。一方で,卵巣癌・子宮体癌・子宮頸癌などの婦人科癌,精巣腫瘍,肉腫,原発不明癌など,非消化器癌においても発生し得る。PCの成立には,原発巣から遊離した腫瘍細胞が腹腔内を浮遊し,腹膜表面への接着・浸潤・増殖を経て結節形成に至る一連の過程が関与している1)。また,最新の研究ではリンパ流や血流内の腫瘍細胞からもPCを生じ得ることが示唆されている。PCでは腹膜全体の機能障害や腹水貯留をきたし,消化管通過障害(malignant bowel obstruction;MBO)が出現する。MBOは摂食量の著明な低下をもたらし低栄養やサルコペニアの進行を助長するのみならず,嘔気・嘔吐,腹部膨満感などの苦痛症状を引き起こす。これらは患者の終末期QOL(quality of life)を著しく損ね,さらに闘病意欲や社会的活動性の低下にもつながる。そのためPCに対しては根治的治療が不可能な場合でも症状緩和を目的とした包括的治療が重要である。具体的には,消化管減圧・ステント留置・外科的バイパス術・人工肛門造設,さらには腹水コントロール,栄養サポート,薬物療法などの集学的治療戦略が求められる。

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