特集 必携 消化器救急疾患の治療戦略と緊急手術
Ⅱ.各論(治療戦略) 17)下部消化管領域における術後縫合不全
鎌田 哲平
1
,
小菅 誠
1
,
衛藤 謙
1
1東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科
キーワード:
縫合不全
,
下部消化管
,
三角吻合
Keyword:
縫合不全
,
下部消化管
,
三角吻合
pp.1295-1300
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004551
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大腸疾患に対する外科手術の低侵襲化・安全性は着実に向上しているが,術後縫合不全は依然として最も重大な合併症である。縫合不全の発生頻度は大腸手術の2.8~18.6%とされており,縫合不全の発生により入院期間および医療費を増大させるだけでなく,短期的のみならず大腸癌の場合は長期の予後も悪化させる要因となる1)。縫合不全の臨床像は多岐にわたり,自覚症状に乏しく検査所見のみで発見される軽症例から,腹膜炎や多臓器不全を伴う敗血症に至る重篤な症例まで存在し,縫合不全に関する一般的な治療フローチャートは確立されていない。患者の全身状態,縫合不全の程度および部位,ならびに予防的ストーマの有無などに基づいて個別に対応されているのが現状である。

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