特集 転移性肝腫瘍に対する肝切除
Ⅱ.各論 3)切除不能大腸癌肝転移に対する肝移植手術─海外報告などの文献レビューを中心に
八木 真太郎
1
1金沢大学肝胆膵・移植外科
キーワード:
大腸癌肝転移
,
肝移植
Keyword:
大腸癌肝転移
,
肝移植
pp.1051-1058
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004496
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
大腸癌(colorectal cancer;CRC)の患者の約半数は経過中に大腸癌肝転移(colorectal liver metastasis;CRLM)を発症する1)。肝転移が限局していれば外科的肝切除が根治治療となり得るが,病変が多発・両葉性である場合など,切除不能と判断される患者は全体の約20%にとどまる。切除できた場合でも再発率は最大70%に達し,長期生存は限られていた。しかし,2000年代後半に,ノルウェーのオスロ大学のグループが肝移植による有望な成績を報告し(SECA-Ⅰ試験)2),転移性肝癌に対する肝移植が注目を集めるようになった。その後,このオスログループによる追試(SECA-Ⅱ試験)3)や新たな肝移植手技の導入(RAPID:後述)4),北米からの報告5),フランスからの報告6)などにより,切除不能CRLMに対する肝移植は近年「Transplant Oncology」7)の一領域として再興しつつある。

Copyright © 2025, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.