Ⅲ 大腸 ６ 低位前方切除に必要な骨盤解剖

直腸癌に対する手術の原則はTME（total mesorectal excision）もしくはTSME（tumor-specific mesorectal excision）である。直腸癌の手術において最も大事なことは，根治性と機能温存の両立であるが，誤った解剖の理解は癌の根治性を損なう恐れがあるだけでなく，術中・術後の合併症を増加させる。直腸周囲の膜構造を理解し，癌の進展 / 進行度に応じて適切な剝離層を選択することで，温存すべき神経を損傷しないように注意を払って手術することが重要である。