特集 必携 消化器・一般外科医のための外科解剖アトラス
Ⅲ 大腸 7 側方リンパ節郭清に必要な骨盤解剖
三代 雅明
1
,
奥谷 浩一
1
,
秋月 恵美
1
,
石井 雅之
1
,
野田 愛
1
,
竹政 伊知朗
1
1札幌医科大学消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座
キーワード:
側方リンパ節
,
郭清
,
直腸癌
Keyword:
側方リンパ節
,
郭清
,
直腸癌
pp.603-613
発行日 2024年3月31日
Published Date 2024/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003817
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直腸のリンパ流は,上部直腸では下腸間膜動脈に沿った上方リンパ流のみであるが,下部直腸では側方リンパ流が存在し,cT3またはT4の下部直腸癌症例の15~20%に側方リンパ節転移が存在することが報告されている(図1)1)。大腸癌治療ガイドライン2022年版において,腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にあり,壁深達度がcT3以深の直腸癌に対しては側方リンパ節郭清を推奨するとされ,また,術前化学放射線治療を行った症例においても治療前に腫大した側方リンパ節を認める場合には,側方リンパ節郭清により局所再発を低減できることが示唆されており,集学的治療の1つの重要な選択肢と考えられる2)。側方リンパ節郭清は高難度手技とされており,その要因として,血管・神経・筋肉・泌尿生殖器系臓器が個人差のある複雑な解剖学的構造を構成していることが挙げられる。
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