特集 必携 ロボット支援下消化器外科手術―基本手技とトラブルシューティング
Ⅲ.下部消化管領域 3)ロボット支援下低位前方切除術の基本手技
室野 浩司
1
,
石原 聡一郎
1
1東京大学腫瘍外科
キーワード:
低位前方切除術
,
ロボット支援手術
,
手技
Keyword:
低位前方切除術
,
ロボット支援手術
,
手技
pp.1187-1195
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003420
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2018年4月よりロボット支援下直腸切除術が,2022年4月からはロボット支援下結腸悪性腫瘍手術が保険収載され,ロボット支援手術を導入する施設が増加している。最近の報告ではロボット支援手術は開腹移行が少ない,断端陽性率が低い,出血が少ない,術後早期合併症が少ないといった利点が報告されている1)。しかし,手術時間の延長や費用面の課題も残されている2)。手術時間についてはとくに導入初期の頃は操作に慣れが必要であることや,ロボットには触覚がないため力加減を1つひとつ目で確認しながら展開する必要があることから,どうしても時間がかかる。当科ではスムーズな導入のため,新規の術者については外側の授動のみ,内側授動と血管処理のみ,といったように部分執刀から開始することで手術時間が極端に延長しないよう留意している。施設としてロボット支援手術を新規に導入する場合は部分執刀を行うのは難しいが,上部直腸あるいは中部直腸癌などの難度の高くない症例から導入するのがよいと思われる。また,術者は術野に集中してしまうため,思わぬ部分で術野を展開する力が強すぎたり,アームどうしの干渉に気が付かなかったりする場合がある。助手から声を掛けることも重要であり,助手は声をかけやすい雰囲気を作るのがよい。
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