特集 イラストで見る消化器癌手術アトラス
Ⅰ 外科解剖 1 食道癌手術に必要な食道周囲の密性結合織の知識
東海林 裕
1
,
永井 鑑
2
,
塩原 寛之
1
,
安藤 昌之
3
,
秋田 恵一
4
,
絹笠 祐介
2
1東京都立病院機構豊島病院外科/東京医科歯科大学消化管外科学
2東京医科歯科大学消化管外科学
3東京都立病院機構豊島病院外科
4東京医科歯科大学臨床解剖学
キーワード:
縦隔
,
内臓鞘
,
密性結合織
Keyword:
縦隔
,
内臓鞘
,
密性結合織
pp.641-649
発行日 2023年5月31日
Published Date 2023/5/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003313
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
安全で合理的な食道癌手術には縦隔内臓器・脈管・神経・リンパ節の位置関係とともに,それらの間に存在するあるいはそれらを含むように存在するいわゆる「膜」,すなわち膠原線維と少量の弾性線維から成る膜状の密性結合織(thin membranous structure made of dense connective tissue;TMDCT)の理解が必要である。外科臨床においては「膜」あるいは「fascia」と称されている構造は臓器あるいは脈管周囲を包む密性結合織からなる面状の構造と考えられる。上縦隔の密性結合織についてSarrazinら1)は肉眼解剖所見から気管を包む気管鞘(tracheal sheath),その外側に食道も包む内臓鞘(visceral sheath),さらにその外側に血管鞘(vascular sheath)が同心円状に存在すると述べた。馬場ら2)は組織学的検討を加えて内臓鞘内に反回神経および左気管気管支リンパ節が存在すると報告した。
Copyright © 2023, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.