増大号特集 肝臓外科におけるスタンダード肝切除
Ⅰ.総論 3)肝切除症例に対する適切な周術期管理
土師 誠二
1
1蘇生会総合病院外科
キーワード:
肝切除術
,
免疫栄養療法
,
周術期栄養管理
Keyword:
肝切除術
,
免疫栄養療法
,
周術期栄養管理
pp.1145-1154
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002873
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肝切除術は,手術手技の向上や手術機器の進歩と術前肝予備能評価の徹底により,今日では安全な術式として位置付けられるようになった。また,低侵襲術式である腹腔鏡下肝切除の普及は周術期管理にも影響を及ぼす可能性がある。しかしながら,肝切除対象患者として正常肝を背景肝とする欧米と異なり,慢性肝炎,肝硬変例を対象とする機会の多いわが国では,肝切除後合併症の発生リスクが高い。さらに術前化学療法によるconversion surgeryでは,化学療法による肝機能低下も危惧される。とくに,肝硬変合併症例では感染性合併症のリスクが高く,いったん術後感染症が発生すると容易に肝不全から致命的な経過をたどる危険性がある。このため,肝障害程度と肝切除術式に応じた適切な周術期管理が要求される。
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