特集 肛門疾患手術入門─痔核・痔瘻・裂肛
Ⅲ.痔瘻 1)切開開放術の基本手技
松田 大助
1
,
清松 英充
1
,
柴田 淳一
1
,
松野 邦彦
1
,
大高 京子
1
,
松田 好雄
1
1松田会 荒川外科肛門医院
キーワード:
低位筋間痔瘻
,
切開開放術
Keyword:
低位筋間痔瘻
,
切開開放術
pp.1943-1948
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003076
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痔瘻の原因のほとんどが,肛門陰窩(anal crypt)に開口する肛門腺(anal gland)の感染(crypt glandular infection)1)と考えられている。つまり,歯状線上の肛門陰窩から侵入した細菌が肛門腺に達し初期感染を起こす。その結果,内外括約筋間に感染巣を発生させる。その炎症が直腸肛門周囲のspaceに進展して膿瘍を形成する(肛門周囲膿瘍,直腸周囲膿瘍)。これが自壊または切開されることにより肛門周囲の皮膚に開口して後天性の瘻管が形成され,痔瘻となる。初めに細菌が侵入した肛門陰窩を原発口(primary opening)と呼ぶ。また,内外括約筋間の初期感染巣を原発巣(primary lesion)と称し,その間の瘻管が一次瘻管(primary duct)である。皮膚に開口した部位が二次口(secondary opening)であり,感染巣から二次口までが二次瘻管(secondary duct)である(図1)2)。それゆえ痔瘻根治術の原則は原発口,原発口から原発巣までの一次瘻管,原発巣,二次瘻管をすべて切除または開放し,十分なドレナージ創を形成することである。そのうえで,できるだけ肛門機能を損なわないように考慮する。
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