特集 食道癌・胃癌手術におけるリンパ節郭清の理論と手技
Ⅲ.胃 4)センチネルリンパ節理論に基づいたリンパ節郭清縮小への試み
木南 伸一
1
,
中村 直彦
2
,
宮下 知治
2
,
高村 博之
2
1金沢医科大学氷見市民病院一般・消化器外科/金沢医科大学一般・消化器外科学
2金沢医科大学一般・消化器外科学
キーワード:
センチネルリンパ節生検
,
早期胃癌
,
機能温存手術
Keyword:
センチネルリンパ節生検
,
早期胃癌
,
機能温存手術
pp.191-199
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002060
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胃癌に対する根治手術の基本は,リンパ節郭清を伴う胃切除術である。胃癌治療ガイドラインには予防的なリンパ節郭清の範囲が提案されており,進行胃癌にはD2が,早期胃癌にはD1+(もしくはD1)が推奨されている。D2を練り上げたのはわが国の胃癌外科の先達たちである。胃癌のリンパ節転移はリンパ流に沿って拡散し,郭清で局所制御が可能と推測した梶谷らは,胃癌研究会を結成し,胃の所属リンパ節をナンバリングし,全国胃癌登録を開始,リンパ節転移症例の転移状況と治療成績の膨大なデータから,D2(当時はR2)を練り上げていった1)。よって,その範囲は,治療成績を参考にしつつ,解剖学的知見に経験則を加えて,最大公約数的に決められたものである。またD1+は,胃癌治療ガイドラインの上梓とともに示された。その内容は,2群リンパ節のなかから,転移頻度が高く郭清効果が期待できるNo.7,8a,9をD1に追加したものである。
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