総特集 消化器・一般外科手術における感染対策・周術期管理
Ⅱ.各論 3)肝臓手術における感染対策・周術期管理
松井 康輔
1
,
海堀 昌樹
1
,
小坂 久
1
,
石崎 守彦
1
,
松島 英之
1
,
関本 貢嗣
1
1関西医科大学外科学講座
キーワード:
肝切除
,
感染性合併症
,
周術期管理
Keyword:
肝切除
,
感染性合併症
,
周術期管理
pp.1711-1719
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001938
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肝切除術においては,背景肝に肝炎ウイルスや糖尿病,化学療法による慢性肝炎や肝硬変が併存することが多く,肝予備能が低下した症例に対して手術を行うこととなる。このため,肝切除術は術後に易出血性,易感染性や難治性腹水を発症しやすい状態にある。さらに,肝切除術においては胆汁漏や腹腔内の死腔形成による感染性合併症のリスクが高い。とくに,肝硬変合併症例における肝切除術においては,bacterial translocationが起こりやすく,感染の機会が増加する1)。また,障害肝を背景に,いったん術後感染症を発症すると容易に不可逆的肝不全へと進展し致命的な経過をたどる危険性がある。このため,肝障害の病態把握に基づいた周術期管理が重要である。さらに,術後感染症の発生は容易に在院日数の延長につながり,患者負担の増加のみならず,医療経済上も負担を増加させる。
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