特集 解剖学的変異を考慮した上部消化管手術
局所微細解剖からみた幽門下リンパ節郭清のコツ─腹腔鏡手術を中心に
田中 千恵
1
,
佐藤 敏
1
,
神田 光郎
1
,
清水 大
1
,
小寺 泰弘
1
1名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科
キーワード:
胃癌
,
幽門下リンパ節郭清
,
腹腔鏡手術
Keyword:
胃癌
,
幽門下リンパ節郭清
,
腹腔鏡手術
pp.1339-1346
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001828
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幽門下リンパ節は,胃癌取扱い規約(第15版)で「右胃大網動静脈根部から胃大彎への第1枝までのリンパ節,および右胃大網静脈と前上膵十二指腸静脈の合流部まで(合流部を含む)のリンパ節」と定義されている1)。このリンパ節領域の前面は,大網と横行結腸間膜に覆い隠されており,郭清組織の中に温存すべき膵頭部が存在し2,3),そのうえ,十二指腸と接している。さらに膵臓からの微細な流入血管が,処理するべき静脈に流入している。このため,幽門下リンパ節郭清を行う際は,微細な流入血管からの不必要な出血を避け,膵や十二指腸の損傷に注意する必要がある。加えてこの領域は,生理的癒着や複雑な層構造を有し,血管分岐形態も多彩である。以上より幽門下リンパ節郭清は,胃癌に対するリンパ節郭清において重要な郭清の1つであるが,技術的難度が高い手技の1つと認識されている。
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