特集 消化器外科手術の論点2020 誌上ディベートと手術手技
肝胆膵外科 13 解剖学的肝切除術における亜区域描出法 肝門アプローチ法の立場から
加藤 悠太郎
1
,
杉岡 篤
1
,
棚橋 義直
1
,
小島 正之
1
,
中嶋 早苗
1
,
安田 顕
1
1藤田医科大学総合消化器外科
キーワード:
肝亜区域切除術
,
Glisson鞘一括アプローチ
,
Laennec被膜
Keyword:
肝亜区域切除術
,
Glisson鞘一括アプローチ
,
Laennec被膜
pp.583-592
発行日 2020年3月31日
Published Date 2020/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001641
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解剖学的肝切除術とは門脈枝支配肝領域を過不足なく切除する肝切除術式と定義できる。肝亜区域切除術は,Couinaud分類による肝亜区域,すなわち門脈3次分枝の支配領域を選択的に単独であるいは組み合わせて切除する解剖学的肝切除術式であり,さらに末梢の亜亜区域(門脈4次分枝支配領域)の切除も含めてよいと考える。その臨床的意義として,肝切除の安全性の向上,切除マージンの確保,根治性の向上,などへの寄与が挙げられる。肝亜区域切除術の有用性は,とくに経門脈性播種を進展様式とする肝細胞癌においてこれまでも示されてきた1)。慢性肝障害を背景とすることの多い肝細胞癌に対しては,肝切除量の制限と腫瘍学的根治性の担保という2つの要素を追求することが可能な術式として肝亜区域切除術はしばしば選択される。
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