特集 消化器外科手術の論点2020 誌上ディベートと手術手技
大腸外科 9 横行結腸癌に対する腹腔鏡手術の最適アプローチ
五井 孝憲
1
,
大塚 幸喜
2
1福井大学消化器外科
2岩手医科大学外科学講座
pp.515-515
発行日 2020年3月31日
Published Date 2020/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001627
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横行結腸癌手術の難度を引き上げる要因として,動脈系ならびに静脈系の血管解剖の複雑さ,さらに十二指腸,膵臓を含む重要臓器が隣接していることが挙げられる。すなわち,これらを容易に認識,剥離できることが望ましい。頭側アプローチ(superior approach)はまず網嚢腔に入り,胃後壁と横行結腸間膜前葉の癒着を剥離することによって血管系や膵臓のラインなどの解剖学的な位置関係を把握しやすく,さらに脂肪が多く,これらを認識し難い肥満患者にも適している。副右結腸静脈から胃結腸静脈幹にたどり,上腸間膜静脈(SMV)の前面を容易に認識することができること,さらに左側方向に膵下縁に沿って剥離を進めることで,中結腸動静脈および上腸間膜動脈(SMA)の輪郭を確認することができる。Superior approachを行うことは,解剖学的な全体像や解剖構造を確認しやすく,安全な手術に寄与すると考えられる。
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