特集 誌上ディベート肝胆膵外科におけるcontroversial surgery
6.門脈に近接した剥離可能な膵頭部癌に対する門脈合併切除 1)行うの立場から
木村 大輝
1
,
平野 勝久
1
,
渋谷 和人
1
,
吉岡 伊作
1
,
奥村 知之
1
,
藤井 努
1
1富山大学大学院医学薬学研究部消化器・腫瘍・総合外科
キーワード:
門脈切除
,
膵頭部癌
,
R-PV
Keyword:
門脈切除
,
膵頭部癌
,
R-PV
pp.332-337
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001097
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膵頭部癌ではその解剖学的特徴から,門脈系への浸潤をきたしやすい。しかし,門脈浸潤を有する膵癌に対する門脈合併切除が生存率に寄与するという明確な根拠に乏しい。一方で,門脈合併切除症例においては,動脈浸潤や剥離面陽性といった所見がなければ予後が期待できるとの報告もある1,2)。したがって門脈合併切除によるR0手術と補助化学療法が,膵癌切除後の予後を改善することが示唆される。門脈合併切除そのものの安全性については,門脈浸潤を伴う症例では門脈合併切除における合併症率が非切除症例と比較して有意差を認めないとする報告が散見される3,4)。以上より,門脈に近接する膵頭部癌において,安全な門脈合併切除によるR0手術が予後に寄与するのではないかと考えられる。
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