特集 膵頭十二指腸切除に必要な外科解剖と手術手技
動脈先行処理による膵頭十二指腸切除─前方アプローチ
菅野 圭
1
,
吉岡 伊作
1
,
渋谷 和人
1
,
平野 勝久
1
,
渡辺 徹
1
,
藤井 努
1
1富山大学学術研究部医学系消化器・腫瘍・総合外科
キーワード:
膵頭部癌
,
動脈先行処理
,
前方アプローチ
Keyword:
膵頭部癌
,
動脈先行処理
,
前方アプローチ
pp.995-999
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001745
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罹患者数の増加や新規化学療法の登場により,膵癌の手術適応は拡大してきている。また,切除可能性分類1)においてborderline resectableと定義されるような主要血管への腫瘍浸潤を伴う症例に対しても,血管再建を用いての外科的切除が実施され,さらに高度な手術と精度が求められるようになりつつある。手術適応の有無は,術前の膵ダイナミックCTを用いて切除可能性分類に基づき決定されるが,術中にR0手術が完遂できなくなることも少なくない。その理由としては,膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術においてSMAの周囲神経叢への浸潤で剥離困難な場合や上腸間膜動静脈(superior mesenteric artery / vein;SMA / V)の結合組織(No.14d)の郭清が困難であり,結果的にR1手術になってしまうといった事例が考えられる。
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