合併症ゼロを目指した最新の低侵襲内視鏡外科手術
Ⅵ 大腸・肛門 10 腹腔鏡下側方郭清の基本手技
大田 貢由
1
,
中川 和也
2
,
諏訪 宏和
2
,
石部 敦士
3
,
渡邉 純
1
,
遠藤 格
3
1横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター
2横須賀共済病院外科
3横浜市立大学消化器・腫瘍外科学
キーワード:
直腸癌
,
側方郭清
,
腹腔鏡手術
Keyword:
直腸癌
,
側方郭清
,
腹腔鏡手術
pp.643-648
発行日 2018年3月31日
Published Date 2018/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000000656
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下部進行直腸癌では10~20%の頻度で骨盤内側方領域にリンパ節転移を認め,局所再発の原因の1 つになっていることが知られている。わが国では1980 年代から自律神経温存側方郭清が導入され,現在まで進行直腸癌に対する標準治療としてガイドラインで推奨されている。JCOG0212試験の結果では,TME 単独に比してTME+側方郭清により局所再発は有意に抑制されており,局所制御における一定の効果が確認された。近年腹腔鏡手術の進歩に伴い,進行直腸癌に対しても積極的に腹腔鏡手術が行われるようになってきた。しかし,日本のガイドラインに従えば,進行直腸癌に対しては側方郭清をあわせて行うことが必要であり,腹腔鏡下に側方郭清を行う手技の確立が求められる。側方郭清は比較的難易度の高い手技とされ,内外腸骨動脈およびその分枝近傍で郭清操作を行うため,出血をきたす危険がある。また,自律神経の損傷によって排尿機能,性機能の障害をきたしたり,閉鎖神経の障害によって運動機能の障害きたしたりすることがあるため,術前に患者に十分なインフォームを行うほか,手技についてもとくに慎重に行う必要がある。本稿では定型的な腹腔鏡下側方郭清の手技について解説する。
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