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特集 専門医必携 新外科手術書―新しい手術手技のエッセンス
IV. 大腸
6.腹腔鏡下側方郭清の定型的手術手技
Laparoscopic surgical technique of lateral lymph nodes dissection for lower rectal cancer
藤田 文彦
1
,
大地 貴史
1
,
合志 健一
1
,
吉田 武史
1
,
溝部 智亮
1
,
中根 浩幸
1
,
緒方 傑
1
,
福田 純也
1
,
藤吉 健司
1
,
赤木 由人
1
F. Fujita
1
,
T. Ohchi
1
,
K. Koshi
1
,
T. Yoshida
1
,
T. Mizobe
1
,
H. Nakane
1
,
S. Ogata
1
,
J. Fukuda
1
,
K. Fujiyoshi
1
,
Y. Akagi
1
1久留米大学外科学講座
キーワード:
直腸癌
,
側方リンパ節郭清
,
腹腔鏡手術
Keyword:
直腸癌
,
側方リンパ節郭清
,
腹腔鏡手術
pp.513-518
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka83_513
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本邦では骨盤内側方リンパ節転移が疑われる進行直腸癌に対しては,積極的な側方リンパ節郭清が推奨されてきた1).さらに,欧米では標準治療とされている術前化学放射線療法を施行した症例においても,治療前に側方リンパ節転移が疑われていた場合,側方リンパ節郭清は省略すべきでないという報告もある2).そして近年,本邦における進行直腸癌のこの標準術式に対して,側方リンパ節郭清を省略した直腸間膜全切除(TME)単独の比較試験(JCOG0212試験)が計画されたが,無再発生存期間における非劣性は証明されなかった3).一方,大腸癌に対する腹腔鏡下手術は広く普及しており,特に早期の結腸癌に対しては標準術式といっても過言ではない.進行大腸癌に対する腹腔鏡下手術に関しては,本邦で施行された開腹手術との無作為化比較試験(JCOG0404試験)で短期成績について良好な結果が得られたものの長期成績では非劣性を証明できず4),症例あるいは手術チームの習熟度に応じて腹腔鏡下手術の適応を慎重に決定すべきであるとされている.特にこのJCOG0404試験には,対象疾患に横行結腸癌や直腸癌は含まれておらず,側方リンパ節郭清を伴うような進行下部直腸癌に対する腹腔鏡下手術の安全性は明らかにされていない.直腸癌に対する腹腔鏡手術は,海外のいくつかの臨床試験では開腹手術と遜色ない結果を示したものの5,6),その一方で腹腔鏡手術の安全性に一定の懸念が示された7,8).本稿では,側方リンパ節郭清に対する腹腔鏡下手術の適応について触れ,その標準的な手術手技を概説する.
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