右臀部から発症した巨大高分化型有棘細胞癌の1例

Giant well-differentiated squamous cell carcinoma arising on the right buttock

45歳，男性。3年前に右臀部に皮下腫瘤が出現した。増大し，疼痛が出現したため当院を受診した。右臀部尾側を置き換えるように13cm大の皮下腫瘤があり，表面は一部潰瘍化し，潰瘍面は乳頭腫状であった。皮膚生検の病理所見から高分化型有棘細胞癌と診断した。MRIで肛門挙筋への浸潤があり肛門管癌にも該当した。腫瘍および肛門挙筋，直腸を一括切除し人工肛門を造設した。皮膚由来の有棘細胞癌は手術療法が第一選択となる。一方で肛門管癌は病理所見から腺癌と扁平上皮癌に分類され，前者では手術療法，後者では化学放射線療法が第一選択である。自験例では根治性を優先し手術療法を選択したが，治療法により肛門温存性が異なるため慎重な判断を要する。