横行結腸癌の切除により掌蹠の過角化が消退したBazex症候群の1例

Bazex syndrome that resolved after resection of transverse colon cancer

73歳，男性。初診の1年半前から両手掌に，10カ月前から足底にも角化が出現した。前医にてステロイド外用，光線療法が行われるも改善せず，当科を紹介受診した。初診時，掌蹠の過角化，亀裂，びまん性紅斑を認め，腰腹部，下腿で鱗屑を伴う紅斑を認めた。血液検査で血清CEA，SCC値の上昇を認め，精査により横行結腸癌の診断に至った。腫瘍切除の7カ月半後，手掌・足底の皮疹は消退した。臨床所見および経過よりBazex症候群と診断した。大腸癌は本邦で最多の癌種であるが，結腸癌に伴ったBazex症候群の報告は自験例が3例目である。報告は少ないが，治療抵抗性の掌蹠の過角化を認めた際には癌の種別を問わずBazex症候群を念頭に置く必要がある。